今回は他の教員からの研究批判について語る。批判は基本「ニューロだから」という偏見である。なぜなら、私の研究は同僚の楠先生の研究をまねたもので、研究テーマとしては楠先生も同じ批判を受けなければおかしい。論文掲載誌を見ればレベルも楠先生と比べて遜色ないと判断されるべきだが、楠先生の研究は評価されていたようだ。批判する教員は私より前から所属していた教員ばかりで、後に配属された教員は評価してくれていた。私は着任時には情報系のド素人で、響教授が教育して一人前にすると言って採用した。当時の印象が消えないようで、勉強して知識が増えても、研究成果が上がっても、認識は変わらずにずっと無能と思っていたようだ。私より古い教員は当然古株なので発言力は大きい。
着任から10年余り、准教授昇進がかかっていた。数理系の教授達は数理系の金本助教を推したかった。彼は1つ年下で、業績も劣っていた。ある程度年功序列の傾向もあり、彼を推すための材料もなかった。私の業績も少なく基準ギリギリだったが、彼は基準に達していなかったかもしれない。私を推す教授陣は数理系の教授陣に対して、「金本先生を推すなら業績を出して比較しろ」と言ったが応じず、ひたすら私の批判を繰り返した。その中で「ニューロだから簡単に論文が書ける。」というのがあったそうだ。彼らはニューラルネットワークが否定する理由になると思っていたようだ。最終的に金本先生はセンターの准教授のポストに納まり、私を蹴落とす必要がなくなったため、ようやく昇進が認められた。本来より1年半遅くなった。
次は2つ年上の同僚の話だ。私がある飲食店で食事をしている所に彼が入ってきた。入り口で私が視界に入ったのが気に入らないらしく、いきなり「お前の研究なんか何の価値もない」と怒鳴りつけてきた。彼の場合はニューラルネットワークに対する偏見ではなく、私に対する偏見だろう。私の能力に否定的で、まともな論文を書けるはずがないと思っているのだ。研究のテーマも質も楠先生と大きな差はない。そもそも業績を見てもらえないので、偏見を払しょくする機会はない。私が教授になった時には、業績調書を見たおかげか偏見がなくなったようだ。資格欄には情処の全てのスペシャリストも記載されていて、ド素人という認識も改まったようだ。
最後にもう1つ学科を追放される話を書くが、長くなるので次回に詳しく。