初めての研究論文 (3)

論文には楠先生にも連名になってもらうつもりだ。響教授から、楠先生の上司 I 教授も連名にしろと命令された。研究に何も寄与していないのに連名にしなければならないのか。「楠先生が責められたらかわいそうじゃないか。」と響教授は言う。それでは、私が外部の研究を手伝って名前を連ねてもらうときは響教授も連名を求めるということか。これが工学部の価値観なのか。おかしな話だが、連名になって下さいと I 教授に頭を下げてお願いに行かなければならない。どうお願いに行ったものか。とりあえず、楠先生に相談した。連名にする必要はないと言うので、その旨を報告して納得してもらった。

論文の投稿先を決めなければならない。過去2回は人工知能学会に投稿した。先行研究は信学会である。情処(情報処理学会) か 信学会(電子情報通信学会) の掲載状況を図書室で調べた。情処は過去数年ほとんどニューロの論文は掲載されていない。信学会は月1,2というところか。意外な結果だったが、これでは信学会一択である。「信学会に投稿します」と響教授に報告した。「だめだ、情処にしろ」と響教授は即座に却下した。「情処はニューロの論文が全然掲載されていません」と抵抗したが、「ニューロは情処なんだ」と一喝されて終わった。過去2回は投稿先について何も主張しなかったのに、なぜ今回は固執するのか分からなかった。上司の命令に従わざるを得ず、楠先生に情処に投稿すると話した。楠先生は情処のことは分からないと言った。投稿して査読結果が届くまで1年かかった。